『億男』。タイトルから想像するに、お金持ちになった男の話だと想像できる。
まさにそのとおりだ。一夜にして『億』という大金を手にした男が、『お金と、幸せ』について思いを馳せる、誰もが一度は考えたことがある問題をテーマにした小説だ。
小説で、なおかつ文字数も多くないので、普段あまり本を読まない方でもとても読みやすい内容になっている。社会人になって数年、家族を持ち、お金について日に日に悩みが大きくなっている人にとって、考えさせられる一冊となっている。
ぱっとしない図書館司書の主人公、一男(かずお)が、ある時、宝くじで三億円を当てる。
一夜にして億という大金を手にした一男は、浮かれる間もなく不安に襲われた。『お金と幸せの答え』を求めて、大富豪となったかつての親友、九十九(つくも)に助言をもとめて十五年ぶりに訪ねる。借金を三千万円抱え、家族とも別居状態となった一男は、お金があればすべてが上手く行くと信じているが。。。
"人生に必要なもの。それは勇気と想像力と、ほんの少しのお金さ。
かの有名なチャップリンの名言を引用して、お金と幸せについて読者に問いかける。
引用されているのはチャップリンだけではない。ソクラテス、ドストエフスキー、アダム・スミス、福沢諭吉、ドナルド・トランプ、ビル・ゲイツ。
たくさんの著名人の名言を多数引用して物語を彩っている。
本作の著書は川村元気さん。日本の映画プロデューサーでもある。
『電車男』、『君の名は。』、『告白』、『悪人』のタイトル名を聞けば知らない人はいないのではないだろうか。 他にも絵本作家の一面を持つ、多彩な才能の持ち主だ。
小説だけでは終わらない。既に2018年10月19日に佐藤健さん主演で映画化も決定している。それだけ多くの人に支持されている作品と言える。映像化するにあたって、小説とは違った味わいを出すのか、注目したいところだ。
その前に、先に原作を読んで、違いを楽しんでみては如何だろうか?