『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』 水戸 政和著 -人生100年時代のサラリーマン生存戦略-

サラリーマンといえば、一つの会社に就職して、仕事に一生懸命打ち込み、60歳になったら退職して老後は退職金を使って悠々自適の生活。

そんな時代はとっくに終わった。これからの時代はサラリーマンでも会社を持って、資本家になることの優位性を本書は説いている。

 

本書の想定読者は、組織で自分の力を出し切れていないサラリーマン、定年退職を間近に迫った方に、『人生100年時代』における新しい資産形成法を踏まえたヒントと、ノウハウが詰め込まれている。

 

サラリーマンがやるべきこと、それは中小企業をM&Aすること!!

ずばり本書が伝えたいことはこれだ。なぜサラリーマンが会社を持つべきなのか、そのための方法と、社会的な意義が述べられている。おもしろいのは起業について反対を示しているところだ。今の時代の流行りとしては、起業を進める風潮があるが、本書では真逆の意見を持っている。

 

また、会社員の経験は経営者としては活かすことができないと思われているが、こと中小企業においては、管理職として大企業で培ったノウハウが、活かせることも説明されている。一般的な経営者になるための本と真逆の持論を展開しているところもポイントだ。

 

"10年が経過してすでに一定の経営資産を持ち、経験を積んだ社員がいる企業を買って、それを土台に経営をするのです。"

"ゼロイチ企業の初心者かもしれませんが、組織マネジメントは大ベテランです。"

つまり、既にある程度の経営基盤がある組織なら、大企業で管理職として働いた経験があるサラリーマンならその経験を生かして、大企業で培ったスキルを使って効率化を実施することができる。0から1ではなく、10を20、30にするのはサラリーマンの時と同じため、それ程難しいことではないとうことだ。

 

著者の水戸政和さんはベンチャーキャピタリストとして活躍されている方で、中小企業の事業再生、事業継承に関するバイアウト投資も行っているだけあって、日本の中小企業の後継者不足問題の解決方法として、こういった方法を提唱している。

 

日本には、高齢の経営者が家族経営でほそぼそと事業を回している中小企業がたくさんある。その中には、素晴らしい技術を持った会社も多数含まれている。そのような会社を、意欲あるサラリーマンが経営を担うことで、会社も個人としても新たな未来をつなぐことができるのではないだろうか。そんな方法が語られているのが本書である。